部下の想いを知った時に感動

仕事ではつらいことや悲しくなるようなことがあまりに多過ぎて、嬉しいことなんて今まで数えるほどしか憶えていないものですが、ごく稀にホントに涙が出そうなぐらい感動することもあるものです。

これまでサービス業に関わることが多かったので、取引先さんやお客さまとのやり取りでは何かと胸を打たれる場面もあったのですが、中には同僚に感動させられることもありました。

以前の勤務先では若い部下を数名従えて仕事していましたが、彼らは若いうえに世間知らず、毎日のように厳しく指導しなければならない環境でした。

本音で言うなら敢て憎まれ役を買うつもりは毛頭ないのですが、上役があまり指導力があるタイプでないためにやむを得ず損な役を私がやる必要がありました。

時には上役の指示に関係なく、彼らがこの先社会人として生きていくために知っておくべきだろうと思われるような事に関しては、独断で叱ったりすることも少なくありませんでした。

私は口も悪い方で、多少表現に誤解を生むことがあるのですが、心の中では自分なりに彼らのためを持って言っているという信念に近いものがあります。

また客商売に携る以上は、お客さまに対してどんな気遣いが出来るかを追求する姿勢が人一倍あると自負しています。

そんな想いから生まれる彼らに対する姿勢が厳し過ぎるために、随分と部下を傷つけてしまったことも正直なところ何度もあるはずです。

おそらく私が若い頃同じように経験したように、上司の陰口として私の名前もいつも挙がっていたであろうと思うのです。

ある意味教官的な存在で仕事を全うし、その当時の勤務先に数年在籍、そして転職して新しい業界に飛び込みました。

あれから数年、かつての部下の一人から連絡があり、久しぶりに大勢集まっての飲み会が開催されました。

幸い私がいた頃は辞めたいと嘆いた者も私が退社するまで何とか踏みとどまり、手を焼かされた彼らが少しは成長の跡が見られるようになるまでは付き合ったのですが、そんな彼らと数年ぶりの再会でした。

飲んで時間が進むにつれ昔話に花が咲きます。

そして当時もっとも生意気で言うことをなかなか聞かなかったひとりの元部下が私に言いました。

「あの頃は○○さんが憎くて仕方なかったんですが、今思うとこうやって良い仕事ができるようになったのはあの頃があったお陰です。

今お客さんの気持ちが少しはわかるようになったのもきっとそのお陰ですね。自分の部下には前にぼくが言われていたことをそのまま言ってたりするんですが、それに反発してた自分が懐かしいです。

ちょっと嬉しくなって泣きそうになったんですが、そこはじっとこらえました。そして会もお開きになってその彼と駅まで一緒に歩いていきました。

別れ際彼が一言

「あの頃に時々戻りたいと思うんですよね。多分一緒にいたヤツらもそう思ってますよ」

電車が来たのでお別れして、私は車内でひとり揺られながら懐かしさに耽っていました。

あの頃はどちらもギクシャクしたりしたものですが、時間が経って伝わる想いってあるものですね。

できるならその頃解って欲しかったものですが、自分もそうでしたから仕方ないですか。

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*